「金沢工業大学 組織活性化に向けたDXリスキル教育プログラム」取材レポート
2023年5月31日
金沢工業大学「組織活性化に向けたDXリスキル教育プログラム」
~アイデア創出プロセスと組織活性化のためのマインド醸成 受講の現場から~
DXリスキル教育プログラムは昨年12月から今年3月にかけて金沢工業大学が実施した、AI・IoT・データサイエンスの3つのデジタル技術の習得と、組織活性化に必要となるマインド醸成を目的とした社会人向けの教育プログラムです。オンデマンド学習と現地での講義~実習に、延べ470名が参加しました。
本プログラムには事業実施委員を務める企画室 酒元さんがプログラムの開発から関わり、実習フィールドとなった「いちごファームHakusan」が実習の受入れをおこなう等、当社として大きく関わらせていただきました。そこで今回、プログラムの総括として5日間にかけておこなわれたアイデア創出演習の現場に広報室がお邪魔して、演習の様子を見学し取材させていただきました。
プログラムの特徴は講義・演習での基礎知識・スキル習得に加え、デジタル技術を活用したアイデア創出のプロセスと組織活性化のためのマインドを、Project Based Learning(課題解決型学習)で実践的に学ぶことです。 自ら問題を発見し、課題を解決する能力を養うことと共に本プログラムの鍵となるのが、「ウェルビーイングを中核とするポジティブ心理学」を取り入れた組織を活性化するマインドの醸成です。DXを導入して組織を発展させるためには、まず組織全体が「業務改善の実行」や「新たな価値創出」を推進していくマインドを醸成していくことが必須であるという考えのもと、プログラムが設計されています。
ポジティブ心理学は、当社が全社向けに受講を推奨している金沢工業大学のリカレント教育プログラムでも学ぶことができます。このリカレント教育プログラムにおける大学での学びとその大切さが大学・企業間で共有され、本プログラムでの連携へと繋がりました。 また、本プログラムには多くの企業人が参加しており、企業間の人的交流から個別の意見交換会実施に繋がる等、協働・共創が広がっていく様子が演習の現場でも垣間見られました。
社内掲示で広く受講者を募り、当社からは計5名の方が受講しました。 その中から、オンデマンド学習を受講した総合業務部 岩下さん、全60時間の一貫コースでアイデア創出演習までを受講した機器事業部 森田さんにお話を伺いました。
総合業務部 法務グループ 岩下さん
Q. 受講のきっかけを教えてください。
「特許等の知的財産の分野において、AI・IoT・データサイエンスのような、新しいデジタル技術に絡む機会が増えてきています。そういったお話があった時に、技術担当者と弁理士の先生がお話しているデジタル技術のことが分からない…という場面がありました。技術的な部分が分からないので、全容も理解しにくくなるというか。それを解消したい、少しでも話についていけるようになりたいと思っていた時に、ちょうど募集があることを知り、受講してみようと思いました。」
Q. 実際に学んでみてどうでしたか?
「新しいデジタル技術についての単語なら知っている、というレベルでした。だから中身については初めて理解できたものが多かったですね。世の中で言われていたのはこういうことだったのか、と。 中身の動きを理解した上で動画で実際に動いているところを見て、改めて理解が深まりました。」
受講するにあたっては、北菱らしさを感じる場面があったそう。
「直接業務に関連しない部署でも『やりたい』と言ったらやらせてくれたり、行かせてくれたり、まずやってみるということができるのはすごく良いなと思いました。」
予め設定する受講目的や、それによって得られるであろう成果ももちろん大事ですが、受講してみたことで生まれる可能性の余白を考慮してもらえていることで、一歩が踏み出しやすく感じたといいます。
機器事業部 営業部 森田さん
Q. 受講を終えた感想を聞かせてください。
「60時間にわたる受講はハードでしたが、その分ものすごい達成感があります!この達成感は、自分が主体的に関わったからこそ得られたものだと感じています。」
森田さんが強調したのは、Project Based Learning(課題解決型学習)について。
「潜在的な課題の発見の仕方、根拠をもった課題抽出、データ解析等について学びました。特に、《問題の発見→課題の明確化→解決策の創出→評価と検証》という課題解決の一連の流れについて、この過程でこんなにボリュームがあるのか、という気づきは実際にやってみたからこそ得られたものです。」
Q. 学んだことの社内への展開について、考えていることはありますか?
「まずは社内の課題解決に活用したいです。潜在的な課題を見つけ、根拠に基づき優先順位付けをした課題解決を、実験ベースで社内で試してみようと考えています。」
「知識を持っているだけではなく、実際に体験することで学んだことが定着していくのを本プログラムで学びました。」
社内の展開にあたって、考えていることがあるという。
「いろんな人を巻き込んでいけるような動きをしていきたい。今までは『こんな講座を受けました』という共有に留まっていたが、自分から『一緒にやってみませんか』とはたらきかけることが大事。ともに一歩踏み出すことで、いろんなことにチャレンジする人が増えると思います。」
最後に、ポジティブ心理学で学んだ《関係の質》から始まる「組織の成功循環モデル」に触れながら、これからの動きを語ってくれました。
「目の前のことで手一杯になっている人もいると思うが、そこに僕のような目線が異なる者が関わり、歩み寄ることができれば、お互いに見れる景色が変わるはず。相手に任せきりにせず、自分からどんどん関わっていきたい。最初のうちは面倒なやつだと思われるかもしれないが(笑)、ひとつひとつ関わっていくことで行動が変わっていくんじゃないかと思います。」
~終わりに~
本プログラムは文部科学省の「令和5年 大学等におけるリカレント教育事例集」に掲載され、さらに当社がプログラムにどのように関わったかという視点からも事例として取り上げられました。
取材にあたりアイデア創出演習を現地で見学させていただいたのですが、プログラムで学んだ知識・スキルを凝縮しているであろう学習内容の濃さは、見ているわたしたちにも伝わってくるほどでした。 演習で特に強調されていたのは、《知識・スキルの習得→定着→活用》の次のステップである、「企業での展開」の意識づけです。実際のところ、企業に戻っての展開は受講者(と受講者を送り出した企業)に委ねられます。 受講者自身が「この学びの先に自社のDX推進がある」と意識し続けたことが、受講後のインタビューでDX推進や組織活性化の展望を活き活きと語ってくれたことに繋がっているように感じました。
今回の取材にあたり、快く取材にご対応いただきました金沢工業大学様、関係者様に心より御礼申し上げます。
北菱電興 広報室